








いつでもどこでも引き込まれるように自分を集中できる空間へと誘う新たな「フリクション」。

製品の特長
1.チップホールドシステム
安定した書き味

2.ノイズカットノック
雑音となりうる音を
大幅にカット

3.フリクションボールレフィル
Ver.2
インキ切れが少なくはっきりした
視認性の良い筆跡

LINE UP
マーブルグリップ
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Inspiration
Red0.5
mm -
Inspiration
Blue0.5
mm -
Inspiration
Green0.5
mm
インキ色:ブラック
本体価格:3,300円(税込)
ウッドグリップ
-
Deep
Red0.5
mm -
Dark
Brown0.5
mm -
Black
0.5
mm
インキ色:ブラック
本体価格:2,200円(税込)
ラバーグリップ
-
All Time
Black0.5
mm0.7
mm -
Neutral
Clear0.5
mm0.7
mm -
Midnight
Navy0.5
mm0.7
mm -
Break Time
Beige0.5
mm -
First Light
Pink0.5
mm
インキ色:ブラック
本体価格:550円(税込)
製品詳細はパイロット製品サイトで
ご確認いただけます。
















それぞれの分野で独自の表現を生み出し続ける、「新しいクリエイティビティの解放者」たち。
そんな彼らは、FRIXIONの潜在能力を解放され、誕生した「FRIXION BALL KNOCK ZONE」と共にどんな未来を描くのか。
ここでしか読むことのできないスペシャルインタビュー。
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01
「新しい動き」の解放
アオイヤマダダンサーダンスによる身体表現を主軸としながらも、特定のジャンルやパフォーマンスにこだわることなく、さまざまなアプローチで独自の...
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02
「新しい伝統工芸」の解放
野村 拓也螺鈿職人大阪大学外国語学部卒。アパレルメーカーで5年間勤務後、2016年家業である京漆器・螺鈿ジュエリー専門店「嵯峩螺鈿 野村...
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03
「新しいアート」の解放
せきぐち あいみVRアーティストVR空間に3Dのアートを描くVRアーティストとして活動中。さまざまなアート作品を制作しながら、国内にとどまらず海外でも...
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04
「新しい味覚」の解放
レストランKabi
安田 翔平シェフ /
江本賢太郎ソムリエシェフ安田氏は、東京・白金台のミシュラン一つ星フレンチ「Tirpse」の副料理長やデンマーク・コペンハーゲンの一つ星レストラン...
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05
「新しい教え」の解放
稲田 ズイキ僧侶京都府久御山町生まれ。実家でもある「月仲山称名寺」の副住職を務める。同志社大学法学部を卒業。同大学院法学研究科を...
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06
「新しい物語」の解放
きだ さおりコンテンツディレクターリアル脱出ゲームなどの運営を行う「株式会社SCRAP」の執行役員でありながら、まだ世の中にない新しいコンテンツを生み出す...
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07
「新しい発明」の解放
藤原 麻里菜発明家頭の中に浮かんだ不必要な物を何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。2013年...
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08
「新しい音」の解放
和田 永ミュージシャンオープンリール式テープレコーダーを演奏するバンド「Open Reel Ensemble」主宰。2015年より役割を終えた電化製品を電子楽器...
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08

Creative Person

和田 永ミュージシャン
PROFILE
オープンリール式テープレコーダーを演奏するバンド「Open Reel Ensemble」主宰。2015年より役割を終えた電化製品を電子楽器として徐々にオーケストラを形づくっていくプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」を始動。その成果により、第68回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。物心ついた頃に、ブラウン管テレビが埋め込まれた巨大な蟹の足の塔がそびえ立っている場所で、音楽の祭典が待っていると確信する。しかしある時、地球にはそんな場所はないと友人に教えられ、自分でつくるしかないと今に至る。
スパークする妄想から、すべてが始まる。
創造することの発火点になっているのはいつも妄想です。いきなりパーンッて絵と音がスパークするんですよ。たとえば、物置にあった扇風機が突然ヴゥォオオオオンって声を発して、それがズラーっと一斉に集い、オーケストラになって音楽を奏でていく、みたいな。そういう映像が浮かぶんです。そして、その風景を現実化させてみようと手を動かし、実験しながら作っていきます。さらに仲間との楽器づくりやジャムセッションを重ねながら、未知の音に出会ったり、演奏方法や曲も生まれていくっていう感じですね。「もし扇風機に伝統的な奏法があるとしたらこうだよな」「扇風機の音楽ってこういうんだよな」っていうのを、編み出していきます。

家電の向こう側に潜んでいるものとは。
いつもプロフィールに書いてる「蟹の足」のエピソードは、10歳くらいの時ですかね。ある日、蟹を食べていたら、蟹足の食べ殻がたまたま1本立っていたんですよ。そこからは子どもの妄想というか、自分が小さくなった感覚で、その蟹の足が塔に見えたんです。塔は全部で5本あって、水の蟹足・火の蟹足・土の蟹足・風の蟹足って、それぞれに属性を持っているんですけど、あとひとつ何かが足りない。その最後の1本は、「電気」だって気づいたんです。その足にはブラウン管テレビが埋め込まれていて、これが光りながらしゃべるんです。ブラウン管から音を鳴らす仕組みを見つけたのはその10年後くらいですけど、この時から始まっていた気がします。テレビやラジオ、換気扇など家電の向こう側に、電気の妖怪がいるのだと感じたのです。

使われなくなった家電たちの声を聴く。
ある時、テレビにギターアンプやラジオを近づけると静電気に反応して音が鳴ることに気がつきました。そこから、電気信号をキャッチできれば、あらゆる電化製品は音を鳴らす楽器になるのではないか、と思うようになりました。そして、使われなくなった古家電たちの、いつもは聴こえない声をキャッチし、楽器にして演奏することで時間と空間にその声を解放することができるはずだと確信しました。もうひとつ、僕自身が「解放してるな」と実感するのは、パフォーマンスをしている時ですね。自分の内側に渦巻いた妄想世界や感覚がワァーッと時間と空間に解放されていくっていうのは、やっぱりライブパフォーマンスの現場です。音楽をみんなに聴いてもらう以上に、世界観の共有を大切にしています。

「書いて、消して、書いて」の先に。
妄想が浮かんだら、忘れないうちにすぐ書き留めます。僕のアイデアは言葉だとまったく伝わらないこともあるので、絵を描くことが多いですね。どう演奏しているのか、どんな楽器なのか、どういう空間なのか、どんな時間帯なのか。絵で描けば「こんなことが起きるんだな」「なんだかおもしろそう」って想像してもらえるから。アナログで描いたものをスキャンしてデジタルで加工、という作業工程が多いのですが、鉛筆だとスキャンした時に線が薄く擦れることが多くて、普通のペンだと書き直しができないのです。何度も書いて、消して、書いてっていうタイプなので、以前からフリクションは愛用していました。この新しいフリクションは、書き心地がなめらかでインキもリッチですね。ウワァーってアイデアが生まれ、気がついたら朝になってたっていう時、インキ切れを心配せずに無我夢中で描き続けられるのは、まさに「解放」です。


07

Creative Person

藤原麻里菜発明家
PROFILE
頭の中に浮かんだ不必要な物を何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。2013年からYouTubeチャンネル「無駄づくり」を開始。現在に至るまで200個以上の不必要なものを作る。2016年、Google社主催「YouTubeNextUp」に入賞。2018年、国外での初個展「無用發明展- 無中生有的沒有用部屋in台北」を開催し、2020年 Forbes JAPANが選ぶ「世界を変える30歳未満」30 UNDER 30 JAPANに選出される。
失敗のすべてを、受け止めてくれるもの。
本当はちゃんとした作品になるはずでした。テレビで見た仕掛け工作のようなものを作って、YouTubeに上げる予定だったんです。でも結局うまく作れなくて、何だかぐちゃぐちゃなものができあがってしまって。でもそれを「失敗と呼びたくない」「失敗じゃなくしたい」と思う一心で、こういう自分のできないことを全部受け入れられるようなコンテンツは作れないだろうかと考えるようになりました。その時、ふと「無駄づくり」という言葉が浮かび、それからは逆に世の中の無駄なものばかりを探して、それをどう形にしていくかということばかりを考えるようになりました。その後に発明した無駄は、『イヤホンケーブルを絡ませるマシーン』『札束で頬を撫でられるマシーン』『目覚ましを止めてくれるマシーン』『独り言用糸電話』と、挙げだしたらキリがないのですが、どれも発想は日常に根づいたものばかりです。

無駄とは「未来の価値」だと気づく。
作れば作るほど、「無駄ってなんかいいな」って思います。それを作り続けることに特に意味はなくて、私の得意なことが「無駄なものを作ること」だっただけなんですけど、もしかしたら続けていくうちに価値が見えてくるのかもしれません。そこはまだわかりませんね。ただ、無駄というのは「未来への価値」なんだと思います。今は無駄だと思っていることも、作ってみたりやってみたら価値が出るかも知れなかったり。新しい発見につながるかもしれないとか、そういうふうに考えると嬉しくなります。無駄なものがあふれているということは、その分だけ見たことのない価値や発見が日常の中に隠れているのかもしれないということにもなるので、なんだかワクワクします。

役に立たないものも、作っていいんだ。
ひとつの作品を仕上げるのに、2週間くらいかかることもあります。最初の発想からだと1ヶ月以上かもしれません。作ってみて、やっぱりやめて、違う視点で考え直してまた作って、とか。アイデアを壁に貼り出したりして、試行錯誤を続けます。考えたり作ったりしている時は、自分の頭の中にあるものとか、「ものづくり」ということの考え方を解放している感覚はありますね。これまでいろいろなものを作ってきましたが、それで無駄の価値が見えてきたり、無駄でしかないと思われてきたものが、「もしかしたら楽しいことかも」「生活に必要なものなのかも」というところまで価値を解放できたらいいなと思います。少なくとも「発明」というステレオタイプからは一歩外れて、「役に立たないものも作っていいんだよ」という価値観を解放することはできているんじゃないかなと思っています。

頭の中にあるものを、ペンが形にしてくれる。
発明のアイデアとか設計図とかは、スケッチを描いたりしながらまとめていきます。走り書きみたいな感じでスピーディに書くことが多いですね。頭の中にあるものをペンを使ってどんどん出していくので、なめらかに書き進められて、かつ濃くてしっかりしたインキの出方をするペンが好きですね。正直、フリクションはちょっとインキが薄いイメージがあったのですが、この新しいフリクションは濃くて、いい意味でフリクション感が無くなってます。しっかりした書き心地で、普段使いしたいと思います。フリクションだから消せるっていうこともありますし、どんどんアイデアを考えていって、どんどん書き進めていける感じがあって、自分の頭の中にあるものを思いきり解放することができそうです。ZONEという名前の意味も伝わりますね。自分のゾーンに没入して、その中で考えたことをペンを通して形にできる感じがします。


藤原麻里菜 INFO
06

Creative Person

きだ さおりコンテンツディレクター
PROFILE
リアル脱出ゲームなどの運営を行う「株式会社SCRAP」の執行役員でありながら、まだ世の中にない新しいコンテンツを生み出すコンテンツディレクターとしても精力的に活動する。物語性を重視した心が揺れ動くリアル脱出ゲームのほか、物語の進行に合わせてプロジェクションマッピングが変化していく最新技術を用いた作品も多数展開。2017~2020年には「東京ミステリーサーカス」の総支配人も務める。コロナ禍においては観客参加型のオンライン演劇も企画し、2022年にはより物語への没入度を高めた「体験する物語project」を旗揚げ、制作をしている。
ワンアイデアで、今ある世界をもっと楽しく。
実は、もともと謎解きが得意だったわけではないんです。ただ、イベントを考えたり、日常に何かひとつアイデアを加えてみるといったことは昔から好きでした。たとえば友達の誕生日でも、普通に祝うだけではなく、「ホテルに行ってカウンターでこの言葉を言ってみて」と伝えておきます。ホテルって結構そういうのに対応してくださるので、前もって協力をお願いしておくんです。それで、カードが指し示す部屋に入ったらバースデーの飾りつけがしてあるとか。そういうワンアイデアをプラスすることで、今ある世界がもっと楽しくなるみたいなことを考える延長線上で、わりと自然とアイデアをプラスして、作っていくようになりました。

心が動く瞬間が、未来の自分を作っていく。
やっぱり人生において、自分の心が揺れ動いた瞬間は忘れられない時間になっていくと思うんです。それが仮想の物語だったとしても、「自分ってこういう瞬間に心が動くんだ」とか「この瞬間に勇気が出るんだ」という体験をすることは、その後生きていく上で勇気を出さないといけないシーンがあったときに「あの時できたから次もできるはず」ってちょっと背中を押すことにつながったり、心が動いた体験をすることで、その後の人生に少しでもプラスなものを持って帰ってもらえるといいなと思っています。企画する時は最初にテーマを立てて、たとえばそれが「後悔のない人生を歩んでいこう」ということだったら、まず自分にとって後悔の多い時期っていつだったかなって思い返します。自分の場合は高校時代だったので、じゃあ物語の主人公を高校生にして、あの頃の自分が後悔の残らない選択をできたら、大人になった今の自分の背中も押してあげられるかな、というふうに考えていきます。

受け取る物語から、飛び込んでいく物語へ。
映画や小説や漫画など、完成された物語を受け取ることで、沢山の勇気をもらってきました。今度はそれを自分がただ受け取るんじゃなくて飛び込んでいく、向かっていけるような物語を作ることが「物語の解放」だと考えていて、そこに挑戦していきたいなと考えています。あとは、固定観念に縛られると解答が思いつかないことってあると思いますが、一回自分の固定観念をぶっ壊して、新しい道や新しい答えにたどり着くという意味では、人々の「脳の解放」もできているのかな。今制作している「体験する物語」では人々が行動した時に何かドラマティックなことが起こって、その人だけのドラマが動いていったり、会場の中だけじゃなく道端とか電車の中でいきなり起こったりとか。物語の場所とか時間をより自由に、もっと解放していきたいと思っています。

発想を解き放ってくれる道具。
謎解きを作る時は、紙にペンでA・B・C・Dって選択肢を書き出して答えまでの道筋を決めていくのですが、「やっぱりこっちの道筋がいいな」って変えていくことが多いんです。そういう時にザザザッと消して直したりするので、フリクションは手放せません。あとはカフェでアイデア出しをすることが好きなんですけど、パソコンだとタイピング音でお店の雰囲気を壊しちゃうので、ちっちゃいノートとフリクションを持って、アイデアが出るまでワァーっと書いて1時間でお店を出る、みたいなことをします。それから、人に説明する時。頭の中にあるものをバーッて話す時に、「紙とペンじゃないと伝わらないな」っていうことがあるんですよね。新しいフリクションで書いてみたんですけど、かなり解放感あると思いました。線がすごくなめらかに描きやすいので、絵を描くのが楽しそうだなって。発想が解き放たれる感じです。


05

Creative Person

稲田 ズイキ僧侶
PROFILE
京都府久御山町生まれ。実家でもある「月仲山称名寺」の副住職を務める。同志社大学法学部を卒業。同大学院法学研究科を中退後、広告代理店に入社するも1年で退職し、文筆家・編集者として独立する。アーティストたかくらかずきとの共同プロジェクト「浄土開発機構」など、煩悩をテーマに多様な企画を立ち上げる。2020年フリーペーパー『フリースタイルな僧侶たち』の3代目編集長に就任。著書『世界が仏教であふれだす』(集英社、2020年)
人と教えの新しい出会い方を探して。
世間的な意味でのお坊さんとしてのお勤めは、月1回くらいですかね。実家がお寺で、父が住職をやっているのですが、月1回ほど父の代わりに副住職の僕が法事を勤めるという感じです。それ以外はずっと家で、何かものを書いています。雑誌の編集、小説、コラム、エッセイなどの文章を書いたりっていうのが1日のすべてです。コロナ前にはコンテナを借りて、そこに仏像を安置して、見立てとしての「お寺」を造ろうとしていたのですが、すぐにコロナが始まり、狭い空間なので人を呼べなくなってしまって。今はクリエイターの友人と2人でオフィスとして使っています。「浄土開発機構」というプロジェクト名で、「ブッダバース」という仏像NFTを制作中です。

まず、自分がおもしろいと思えることを。
フリーペーパー『フリースタイルな僧侶たち』は2009年に創刊された媒体なので、もう13年目になります。宗派を超えた若手僧侶を中心に、仏教や哲学、カルチャーに興味がある者が集まって刊行しているインディペンデントな活動で、僕は3代目の編集長となりました。最新の第六十号「BIG LOVE」では、推しという現代のカルチャーを僧侶の目線で語る特集を組むなど、宗教と文化を横断する雑誌として編集しています。こういった仏教に関係する企画にいろいろと取り組んでいますが、仏教をおもしろく伝えたいというよりは、何かおもしろいものを作りたいというのが先にありつつ、自分がお坊さんで仏教を学んでいるから、どうしてもそのレイヤーを通してアイデアが出てしまうという感じですね。企画を考える時は、頭の中にあるものを全部紙に書き出します。部屋の至るところにノートが散乱していて、走り書きがびっちりです。

いろいろな口から、いろいろな広がり方。
仏教の教えというのはいつの時代も変わらない普遍の真理ですが、その伝わり方や広がり方は、もっと自由でいいはずです。そもそも、大体のお経が「如是我聞」つまり「私はこのように聞いた」というフレーズで始まります。これはお釈迦様の教えを聞いたひとりの弟子が、「確かに聞いた話」として伝えているからなのですが、その「我」があるのがミソなんだと思ってて。仏教の始まりは、ひとりの耳と口を通して説かれているのです。さらに、時代をまたぎ、別の人たちがそれを「私はこう読んだ」と解釈を示して、現在の仏教は成り立っています。そうした心を素地にした「私にはこう聞こえた」「私はこう思った」という耳や口を増やすことが「教えの解放」だと僕は考えています。仏教をわかりやすく説こうとか、このほうが時代に刺さるからとか、そういう感覚は実は僕にはあまりなくて、ただただ自分がそう思ったとか、そう見えたということを語る。僕というひとりの口から仏教を語っているという感覚です。現在『フリースタイルな僧侶たち』という雑誌の形で仏教を表現しているのは、そうしたナラティブを一冊に綴じることができるからなのかもしれません。

はっきりと書き出す文字に、気持ちが入っていく。
とにかく書くという行為が好きなのですが、どれだけ頭の中で想像し完璧だと思っても、実際書いてみたら全然書き進められないとか、逆に書くから見えてくることは結構あります。やっぱり言葉によって人は認識を更新しているんだなと実感します。僕はパソコン上でものを考えることが苦手なのですが、ペンで書く行為は、キーボードを打つよりも一文字の過程が長いですよね。だから、書いている間に思いつくことも多いと思うのです。新しいフリクションは書き応えがあって、インキが黒々としているので、字に気持ちが入りますね。これまでと明確に違います。頭の中にあるものをはっきりと字に表すことで、自我が解放されたような感じがします。


稲田 ズイキ INFO
04

Creative Person

レストランKabi 安田翔平シェフ / 江本賢太郎ソムリエ
PROFILE
シェフ安田氏は、東京・白金台のミシュラン一つ星フレンチ「Tirpse」の副料理長やデンマーク・コペンハーゲンの一つ星レストラン「Kadeau」のシェフなどを歴任。ソムリエ江本氏はカリフォルニア大学デービス校に留学後、オーストラリア・メルボルンのレストラン「NORA」でシェフソムリエを担う。日本帰国時に偶然出会った2人が生み出す、かつてない味覚と食体験に、いま世界中の食通たちが注目を寄せている。
日本を離れたら、やりたいことが見えてきた
安田:Kabiが試みているのは、「日本の食材や食文化を、和食とは違う形で世界に発信すること」です。もともと父がフレンチの料理人だったこともあり、日本とフランスの料理学校でフレンチを学んだのですが、その後デンマークのレストランで働いたりするうちに、「日本人の僕がフランス料理を作る意味はない」と感じるようになりました。それで、日本のものを使って日本にフォーカスした料理を作りたいと思い始めたのですが、和食はまったくやってこなかったので「自分の感性でやってみよう」と思った結果、こういうノージャンルな店になりました。
江本:僕も最初は日本とフランスで料理の勉強をしていたのですが、「料理人になりたい」というより「レストランが好き」という気持ちが強くて。フランスのレストランで一緒に働いていた人に車でワイナリーに連れて行ってもらったりしているうちに、「ソムリエとしてレストランをやるのもいいな」と思うようになりました。

「あるべき」を捨てた時、味覚は自由を手に入れる
安田:いつも「味覚の解放」ということを意識しています。試作をほとんどしないのですが、頭の中に浮かんだ新しい味覚を、食材を使ってお客さんに伝える、外に向かって解放していく、という感じですね。ジャンルには捉われません。父がかなりクラシックなフレンチを作る料理人で、「こうあるべき」というのがすごく強かったので、僕はそうしたくないという気持ちがあったのかも知れません。
江本:ワインというのは飲み方だったり、「これにはこれを合わせましょう」という教科書的な楽しみ方がすごく多いのですが、そういうのを僕は無視して、自分の思うように表現しています。最終的には嗜好品なので、楽しんで飲めた人が一番ワインの価値を見出せているはずなんです。考えるより先に「おいしい」という感覚に直結できるようなワインの提供の仕方をしたいと思っています。

豊かな食体験を、分け隔てなくみんなのものに
安田:他には「食体験の解放」ということも考えますね。特に子どもの食体験。僕には今5歳の子どもがいて、いろんなところへ連れて行くんですけど、レストランって子連れだと断られることが多いんですよ。子どもにもいいものを食べさせたいし、好きなものを一緒に食べたいですよね。そういう体験が食育につながるはずです。だからうちの店には、子連れでも気軽に来て、食事を楽しんでほしいですね。
江本:それは、僕がノンアルコールのペアリングに力を入れていることにも通じます。お酒を飲めない人は、飲める人ほどレストランの食体験としてプラスアルファを楽しめてないんじゃないかなって思って。だったらノンアルコールをしっかりと作りこんで、飲めない人たちにも料理とレストランという空間と、「あともうひとつ」という観点で楽しみの幅をひろげられたらいいなと思っています。

ペンと一緒に、自由な思考が走り出す
安田:一番集中するのはメニューを考えている時ですね。ほとんど頭の中で考え、ペンで書き出すのはある程度自分の中でまとまった時。ちょっとしたレシピとか、グラムを量りながらペンで書き留めて、違ったら書き直して。だから、なめらかにスラスラと走り書きできるペンがいいですね。そういう意味では、この新しいフリクションは理想的です。書く時のストレスがなく、「解放」を感じます。
江本:僕が集中するのはテイスティングの時。料理の味わいに合うワインって、ドンピシャでひとつではありません。いくつかある中で「こういう流れだったらこっちがいいな」とか柔軟な対応が必要です。だから、一品に対して候補をいくつかペンで書き出して、線を引いたりしながら頭の中を整理します。このフリクションなら書き心地がスムーズで、思考を邪魔されずに集中できます。


03

Creative Person

せきぐち あいみVRアーティスト
PROFILE
VR空間に3Dのアートを描くVRアーティストとして活動中。さまざまなアート作品を制作しながら、国内にとどまらず海外でもライブペインティングなどのステージ公演を行なっている(アメリカ、ドイツ、フランス、ロシア、UAE、シンガポール、タイ、マレーシアなど)。2021年、NFTオークションで自身の作品が約1,300万円で落札され話題に。2021年にはForbes JAPANが選ぶ「2021 Forbes JAPAN 100」に選出され、国内外からの注目を集めている。
心から夢中になれるものとの出会い。
当時はYouTubeでいろいろな配信をしていたんですが、そういう活動をしていると、おもしろいものや新しいものに触れる機会が結構多いんです。そんなある時、VRを体験させてもらいました。いきなりすごい可能性を感じたのですが、まだハードの性能がそこまでではなく、遅延があったりして気持ち悪くなったりもしました。その後、「VR元年」と呼ばれる2016年に再び体験したのですが、すごく魔法のように世界が広がるのを感じて、そこから一気にのめりこんでいきましたね。子どもの頃から絵を描くのが大好きだったこと、常に新しいものを創作したいという気持ち、それからテクノロジーの進化がちょうど合致した感覚です。それまでは、絵は好きと言っても落書きレベルで、ちゃんと絵の勉強をしている子たちと比べたら自分なんて全然ダメだなと思って、じわじわと離れてしまっていたんです。

知識より、才能より、
直感を育む空間。

鑑賞するアートから、体験するアートへ。

ものを書く、自分と向き合う。


せきぐち あいみ INFO
02

Creative Person

野村 拓也螺鈿職人
PROFILE
大阪大学外国語学部卒。アパレルメーカーで5年間勤務後、2016年家業である京漆器・螺鈿ジュエリー専門店「嵯峩螺鈿 野村(さがらでん のむら)」に入る。ロサンゼルスでの留学経験を活かし、海外顧客獲得のための販路開拓や商品開発を行う。また、海外旅行者の対応や体験工房の講師の他にも、ホームページやオンラインストア、SNSの管理などを行う。2017年よりパリのデザイナーとの商品開発プロジェクトにも父親と共に参加。海外市場での新しい螺鈿の提案にも精力的に活動している。
大手メーカーの営業から、ひとりの螺鈿職人へ。
螺鈿というのは主に漆器に貝飾りを施す伝統工芸ですが、家業であるこの仕事に就くことは、実はあまり考えていませんでした。大学は外国語学部でしたし、どちらかと言うと語学に関係する仕事がしたいなと思っていて、特に親からも「家に入れ」とは言われませんでした。卒業後はアパレルメーカーで営業の仕事をしていたのですが、ある時帰省したら海外からのお客様が多く、対応に困っている家族の姿を目にしました。当時は父と母と姉の3人でまわしていたのですが、姉は出産を控え、母は祖父の介護に手を奪われ、いきなり父ひとりになるという状況を見て「戻ろう」と決めました。でも、家族みんなから反対されましたね。勤めていたのは大手企業でしたし、大変な職人の仕事なんてやめたほうがいいと言われました。でも、そうなると「いや、やるんだ」という執着が芽生えてきて、それはもう性格ですね。

これまでの職人らしさを、一度、疑ってみる。

未来へ続いていくものが、伝統になっていく。

使う道具が、その日の仕事を左右する。


01

Creative Person

アオイヤマダダンサー
PROFILE
ダンスによる身体表現を主軸としながらも、特定のジャンルやパフォーマンスにこだわることなく、さまざまなアプローチで独自の世界観を発信し続けている。東京2020オリンピック閉会式では「追悼」のソロパフォーマンスを披露。彼女の独創性に溢れたファッションやメイクが人々の心をつかんだ。新型コロナウイルスによる自粛期間中には、野菜からインスピレーションを受けた動画作品群「野菜ダンス」がSNSで話題となる。
決められた枠の中で、自由に動く。
私の一日のはじまりは、朝起きて味噌汁を温めるところから。その間に顔を洗って、ワーって支度をしたらダンナが仕事に持っていくお弁当を作るんです。それから朝ごはんを作って、出かける準備をして、駅まで送って行くついでに自分も散歩して。帰ってきたら、ヨガと筋トレみたいなのを30分から1時間くらい。あとは本を読むか何か見るっていうのがルーティン化していて、こうやって型にはめるとすごく落ち着くんです。食事とか洗濯とか日常の身の回りのことを整えるっていうのが自分にとっての解放だなって思います。決めごとがあると、かえってその中で自由に動けるし、逆にそこから一歩踏み出して日常とは全然違う行動をした時にすごい解放感がありますよね。自分のルールや枠を決めておいてその中で遊ぶっていうのは、生活だけじゃなく私のいろいろな表現活動に共通するものだと思います。

日常の制約から生まれてくる
クリエイティブ。

頭にあるものを、書くことで呼び起こす。

確かな安定が、解放する勇気をくれる。

